制作プロセス紹介
ブログで連載した「お絵描き実況中継??」の①~⑦全部を、つなげて以下に掲載します。
私の制作プロセスの一部始終をお見せしようという恥ずかしい企画です。

■お絵描き実況中継??①

やっと新しいwebギャラリーもオープン出来て、またお絵描きを始めています。
で、今回はちょっと面白いことを思いつきました。
制作の最初から折々写真を撮っておいて、それを順番にこのブログでご紹介するのです。
ちょうどマラソンの実況中継みたいに、「ただいまの現在地は…」「おっとここで右下から何やら伸びてきましたよ~」みたいな(^^;)
動画では時間がかかりすぎなので、それをスチール写真でやるのです。
なんだかおもしろそーでしょ!
ネット版ライブペインティングってとこですね。
もちろん行き着く先など誰もわかりません。
途中で無茶苦茶になって放り出す結末になるかもしれません。
それもまたよし。
興味がありましたら、どうぞ。
では、今から1回目始めます。
何回で終わるのかも分かりません。

今回はF15号(65.2×53㎝)キャンバスに向き合います。
キャンバスの大きさはF/P/M/Sの〇号という呼び方で言っていますが、
これは日本でのサイズ表記ですので、外国の人も見る場所(インスタなど)では㎝×㎝、またはインチなどで表記します。


 さて、今回はふと思いついて「あいうえお…」から始めようと思いました。
 描き出しは何だっていいんです。
 線であろうが面であろうが。
 いずれ上からいろいろと乗っかって、押しつぶされてしまいます。
 ただ、これから先、最初に置いた色や形がチラッと顔を出して、思わぬ効果をだしたり、
 また次の方向性を示すきっかけになったりもするのです。

 新聞紙が写り込んでいます。
 私の制作スタイルは、主に床に平置きです。
 新聞紙を敷いても床は汚れるのですが。
 で、太目の筆でぐわっぐわっと描きます。



 色を変えて、描く方向も横や縦や斜めやいろいろ。
 字の意味が欲しいわけではなく、色と形がほしいので、
 少し重なるように書いたり、場所を少しだけ考えたり。



 「と」の次に「はまやらわ」と頭に出てきて、
 「はひふへほ」が後回しになりました(^^;)。
 まだ抜けている字もあると思います。
 でも、どーだっていいんです。

 これでだいたい画面が一応埋まりました。

 ここでまた一服です。

 さて、どうするか…って



 で、気持ちとして白の地色が見えるのが落ち着かないので、
 そこを含めて全体をローラーで塗ることにしました。

 塗る色は白です。
 白の絵の具を小さなローラーに付けて、
 ゴロゴロゴロゴロと画面上を動かします。
 下の字の絵の具がまだ乾いていませんから、
 それがにじみ出て何やら汚い感じになってきます。
 汚いのが好きなのです。
 というのはウソですが、
 ゴチャゴチャ色が混じり合っているのが好きなのです。

 ここでまたキャンバスから離れて椅子に腰を下ろし、
 ぼーっと画面を見つづけます。
 すると、少し何やら形が見えてきます。



 半分から下、そこから左へ黄色が伸びています。
 最初の「さしすせそ」のところですね。
 その黄色をもっと上へぐわーって延ばしたいと思いました。

 そのあと、
 「なにぬねの」で描いた赤が目に留まり、ここをもっと強くしたいと思いました。

 さらにその赤を、下から左へ、上にも延ばしたいと。
 こんな初期の段階では細かなことは何もしません。
 思いつくままに、筆で思うままに勢いで描いていきます。
 ちなみに字を書いた時の赤は「レッド」で、この時に入れは赤は「スカーレット」です。
 同系色でニュアンスの違うものを重ねると、良い感じです。
 珈琲で言うと、ストレートよりブレンドのほうがコクが出るということです。

 もうこの時点で「あいうえお」はほとんど消されてしまいましたね(^^;)


 床の上に置く、小さなイーゼルを使っています。
 もちろん廃材などを使った自作です。
 極力無駄なお金は使わない主義です。

 このイーゼルに立てかけて、
 離れて、またぼーです。

 先ほどの黄色と赤の部分に
 パステルで線を入れて、
 バックと切り離すような感じで形を生み出していきます。

 右下にも白い形が欲しいと思いました。
 ほかにも白を足して、画面を整理しています。

 こういう時、パステルはサッと手に取って、
 パパっと描けるのがいいです。

今回は一応ここまでにしておきます。
また次回続けます。

■お絵描き実況中継??②



 さて、第2回目です。
 
 前回パステルで線を入れて形を作り始めました。
 右下に入れた白い面を、分割して、楕円を三つにしました。
 中央部に白が増えてきて、そこを残したいと思うので、
 反対に周辺部を暗くしていきました。

 

 この白い楕円に対応する感じで、 
 左側の黄色い部分に四角い形が欲しいと思いました。
 これも紺色のパステルで描き込みます。
 丸い形も付け加えました。

 この後、右側の赤い角のような形に呼応する感じで、左の四角から上に角を出しました。
 すると上からも欲しくなり1本。
 また下からも欲しくなり1本。

 左右の角にストライプを。

 ここでひと段落。
 またぼーっと。


 ぼーっと見ていたら、何だか中ほどの白が間の抜けた感じに見えたので。
 何か色の濃いものを入れたいと。
 それも密度の高いものが欲しいと思って、コラージュを思いつきました。

 いつも使っている古い70年代のアメリカの雑誌が転がっているので、
 そこから適当に文字や写真などを切り取り、
 並べて置きながら感じをみます。
 位置が決まったら貼り付けます。
 その左側に黒い線を入れて引き締めました。
 左下と右下、それと左上に、白を少し足して、バックの調子を整えます。

 ここでまたひと段落。



 時間をおいて次に見た瞬間、パッと気が付くことがよくあります。
 この時も、すぐに「右の赤に黒い線3本」が思い浮かびました。
 そのとおりにすぐに入れます。
 すると、続けて下の角にも黒3本、って出てきます。
 また続けて、上のコラージュの右側に黒い線、って指示があってそうします。
 またまた続けて、その黒い線の横に白い面。

 ここで右下のバックが暗いのが気になりだし、
 淡いピンクのような色を入れました。
 それを右の上まで延ばしました。
 ついでに左の長方形二つの右側のほうに、白を入れました。

 だいぶん絵のイメージが見えてきました。
 あわいもやもやのバックに、何やら心臓みたいな形の、ちょっと燃え上がるような感じのものが浮かんでいる、みたいな。

 さてさて、このあとどーなるのでしょう。
 次の展開は今の私にも分かりません。

今回はここまで。
次回をお楽しみに。

■お絵描き実況中継??③


 さて、続きです。
 前回の最後の写真からだいぶん変わりましたね。
 まず。雑誌の切り抜きを並べた帯の横に、もう1本同じような帯が欲しいなと思いました。
 左側の小さな角に同化するみたいに並べ、さらに二つの四角を超えて、下のほうまで延ばしました。
 二つのコラージュの帯が下で合流する感じです。
 
 その後、BGMにローリングストーンズをかけた瞬間、右の赤い角の上に斜めに跳ね上がるような色面を入れたいと思いました。
 時々音楽をかけながら絵を描きます。
 好きなロックやジャズです。
 それが絵に反映することはよくあります。

 面が走る場所に、あらかじめ黄緑と黄色を少し置き、コバルトブルーを乗せたナイフで下から一気にぐわーって伸ばします。

 右下にあった白い卵型を一つ消し、そこへ歪な長方形をずらっと並べました。


 今度は二本のコラージュした帯に、重なるような色面を、先ほどの右の青の面に呼応して置きたいと。
 ここは朱色を中心に、黄色・青・白をあらかじめ置いておいて、指で二つの弧を描くように引きました。
 こんなのは一発勝負なのですが、今回は当初思っていた形より少し弧が深くなってしまいました。
 まーこれはこれで一応いいかっと。
 この時右手の指にまだ絵の具がいっぱい付いていたので、右側の卵の上あたりに塗りつけました。

 さっき入れた右側の弧の下にある車のタイヤが、なにやら目のように見えてきました。
 眉毛の下の目みたいに。
 それが嫌で、白パステルでギギって少し消しました。

 あと、右下の歪な長方形の並びに、色を入れていきます。


 さっき指に残った絵の具で描いた右下のもやもやに、白で輪郭みたいに入れました。

 卵やら下の角やら、中央の〇三つや左の四角内の長方形などに、白を入れました。
 白は時間がたつと下の色となじんで色が褪せてきます。
 それでキパッとした白が欲しい時には何度か塗り重ねます。

 さて、ここでずっと気になっていた右側の大きな赤に手を入れます。
 画面の中でこの赤はとても強くて、このままでは落ち着きません。
 まず、ピンク色で弱めてみました。
 弱まったけれども単調で良くありません。
 それで炎みたいな白を入れようと思いました。
 筆かナイフか、結局また指です。
 キャンバスを逆さにして床に置き、三本指で一気に引っ張ります。

 またまた指に付いた絵の具がもったいないので、四隅などにモヤモヤっと塗ります。
 黄色の部分にも絵の具を足します。
 
 左下のコラージュ部分が周囲の色に溶けているみたいに見えるので、黒い輪郭線を入れました。

今回はここまでです。
感じとしては、これで6~7合目くらいでしょうか。
まだどんでん返しがあるかもしれないし…

■お絵描き実況中継??④


 さて、今回はまず、気になっていた左上の眉毛みたいな円弧です。
 朱色が強すぎるので、何とかしたいと思い、おつゆに溶いた黒で少し暗くしました。
 とくに左側の小さい方をかなりつぶしました。

 コラージュした2本の帯の間を緑と青の混合みたいな色で埋めました。
 同じく中央部分を紺色パステルも使いながら塗りました。
 これで締りが出てきました。
 真ん中が締まると、周辺の羽みたいなのがのびやかになるような気がしました。
 下の角にも紺色や青で落ち着かせました。
 上中下と右側の青い羽がほどよいバランスになったかと思います。

 ここで気になったのが左上。
 コラージュの帯と小さい円弧のあたりが何だかすっきりしなくて、
 さらに暗くしたりしました。
 貼り付けた雑誌のピースが少しめくれて取れてしまいました。


 どうしたらいいかと行き詰ったので、
 えいやっと、さかさまにしてみました。
 おお、これ面白いんじゃないの、って。

 絵を描くときは時々さかさまにしたり、
 縦型を横にしてみることもあります。
 すると全然違う絵になるので、
 いらないものが見えたり、
 足りないものが見えたりすることがあります。

 白い卵型ふたつが、何だかウッドペッカーの目みたいに見えて、
 赤い角がくちばしのような。
 この絵だと、先ほど気になっていた右下(さっきは左上)の
 暗い緑などが無い方がよいと思いました。


 それで、そこへどんどん白を入れて
 ウッドペッカーの首の部分を細くしました。

 その首あたりや中央部に、もっと濃い色を入れてみました。

 もう二本目のコラージュの帯は半分壊してしまいました。

 二つの四角の黄色い方にある白い長方形を
 伸ばして長くしました。
 そのほうが、白い目とのバランスが良いと思ったからです。


 ここでもう一度さかさまにしてみました。
 ああ、やっぱりこっちのほうがいいわー。

 左上の小さい円弧はほとんど消して、
 大きなほうの円弧も、はみ出た部分を消してすっきりと。
 右上の白い部分をより白くして、赤い角などをすっきりさせます。
 赤い角とコラージュ帯との間もより白く。

 左側真ん中の小さい長方形の中をどうするか。
 その上と下がゴチャゴチャしているので、
 ここはすっきりとシンプルがいいです。
 小さな丸を黒で入れて、中を白に。
 その周囲は肌色みたいな(今見たら、ペールオレンジというそうな)
 パステルで塗りました。

 かなりいい感じです。
 あとは大きい長方形や白い卵、右の赤い炎、黄色と緑の炎、
 その辺を何とかしなければ…

今回はここまでです。
だいぶん終わりに近づいてきた感じです。
ここから先は、細かな描き込みや修正になるだろうと思います。
つづきます。
 
■お絵描き実況中継??⑤


 
 さて、続きです。
 細かな部分の描き込みをしていきます。
 
 左四角の中に黒の線をぐにゃぐにゃと。
 下の白い卵型の中にも。
 その上の白い指の三本線に、黄色のもやもや。
 その右に白いひび割れみたいなのを。
 中央紺色にも上から白い細い線。

 などなど。


 どうしても左上が気になります。
 
 黒っぽい部分を消してみました。
 
 なんだか形がへんです。
 しっくりきません。
 
 やっぱりこの眉毛みたいなのが邪魔なようです。

 
 左上のあたりをゴッソリ消しました。
 
 あの眉毛は、のびやかな線のあとは良かったのですが、
 その形が、どうも最初からしっくり来ていませんでした。
 「せっかく描いたのにもったいない」って引っ張っていると、
 いつまでたってもその影響下から抜け出られなくて、
 最後までつまづき続けることにもなります。

 無計画での出発で、
 途中もまったく成り行き任せですから、
 こんなことはよくあることです。

 これで、この部分はやり直しです。
 さて、どうしますか?
 
 ぼーっと画面を見ながら、
 何か見えてくるのを待ちます。


 全体として、下から炎がぼーっと燃え上がるようなイメージが見えてきました。

 上部の左から中央にかけても、
 炎が燃え上がるような形を一度やってみようって。

 パステルでイメージを線描していきます。

 雑誌の切り抜きをコラージュした部分も、
 パレットナイフなどでひっかいていきます。
 剥がれるところは剥がしていきます。

 
 その部分のアップ写真です。
 
 貼り付けたものを削り取っていきます。
 剥がれないものはそのままで、あとで塗りつぶしてしまいます。

 前回、もう少しで終わりみたいなこと書きましたが、
 いやいや、そう簡単には行かないようです。

 こういうプロセスが楽しいのです。

■お絵描き実況中継??⑥


 さて、続きです。
 前回、貼り付けてあった雑誌のピースを剥がし落としました。
 そのあとに、下から炎が燃え上がるようなイメージで、形を置きたいのですが、
 ここはやっぱり印刷物などのコラージュを使おうと思いました。
 下部とのバランスもありますし、絵の具とパステルだけだと密度が足りない感じなので。

 色合いと含まれる文字の感じ、そしてイメージ通りの形。
 そんなことを思いながら、ハサミで切り抜いたり、手でちぎったり。

 左側の黄色い紙は、黄色の紙封筒から切り抜きました。
 エッジのきいたシャープな黄色で、とても良い感じ。

 下の角の横にも、一枚貼り付けました。



 色も形も、絵の内容物が増えてきて、少しゴチャゴチャした感じです。
 整理して落ち着かせるために、白を加えました。

 すでにある白の部分。
 左の長方形3つ。小さな丸。中くらいの〇3つ。
 右下の卵型二つ。
 その白をよりくっきりと入れます。
 左の卵に入れてあった黒い線がうっとうしいので、白で少し消します。

 その一連の白とバランスを取りたくて、
 右上に黒枠の白い丸を五つ置きました。

 炎形の間などにも白を入れて、少し整理します。

 
 さて、上部をどうやって締めるか。
 ギュッと密度の高いものが欲しいと思いました。

 まず炎の形で、キリっと強いものを。
 で、思いついたのが、以前つぶした絵のキャンバス地です。
 そこから黄色と黒が中心になった部分をハサミで切り取りました。
 キャンバス地ははがれやすいので、ボンドでしっかりと貼ります。
 いい感じです。

 その下に、雑誌から白と黒の部分を切り取り、
 凸凹で並べました。
 その中間が締まらないので、白のパステルを引き、その上に黒を引きました。

 ピンクの部分にも、雑誌からの切り抜きを貼りました。

 そのほかにもあちこち。



 炎の部分のあちこちに、雑誌切り抜きを貼ります。
 白い紙も使いました。
 黒っぽい印刷物は、画面にメリハリが出来て良いです。

 下の卵の上に並んだ長方形にも、いくつか模様の紙を貼りました。
 卵型の白に、インクペンで線の模様を入れてみました。
 もひとつピンとこないので、いずれ消すかもしれません。
 後のことは後にして、
 今思いつくことをとりあえずやってみます。
 ゴチャゴチャ考えていてもしょうがないのです。
 やってみないと、自分でもよく分からないのですから。

 だいぶん、絵になってきたように思います。
 
 さて、どうなるのでしょうか…

■お絵描き実況中継??⑦最終回


 
 一晩おいてから眺めてみると、
 左側中ほどの二つの長方形が、何だか間延びしています。
 ここは思い切ってドーンと入れてみよう。
 というわけで、黒を太いブラシで波波~~。
 
 それにつられて、右側へ。
 下から黒い線をぐにゃぐにゃ~。

 画面がグッと締まりました。

 
 黒が乾くのを待ってから。
 
 今度は白で。
 思いっきりよく、左下から右上へ、ぐぐぐ~~。

 こんなのは勢いが大事なので、
 あらかじめだいたいの当たりを付けて
 一気にためらわずに引きます。

 ついでに白絵の具を少しポタポタ。

 
 さっきの左の太い黒に、
 白パステルでイナビカリみたいに。

 下の青い部分にも。

 右下の並んだ長方形の中に、色を足します。

 そのほか、白絵の具やパステルなどで、
 あっちこっちに細かな補修を入れていきます。

 だいたい終わりです。
 念のため、もう一晩おきます。

 
 
 もう一度全体を眺めまわして、
 細部の微修正を行います。

 まあ~、このへんかな?
 ってところで終わりです。
 終わり方を下手すると壊れることもあります。

 サインを入れて、
 キャンバス(包み張り)側面を塗ります。
 今回は薄い水色にしました。

 出来上がりました!
 繊細さと力強さを併せ持つ、
 自分らしい絵になったと思います。
 自己満足できて、よし!です。

今回で、このお絵描き実況中継は終わりです。
「あいうえお」から始まって、案の定、あっちうろうろ、こっちふらふら。
行きつ戻りつでしたが、何とか終着まで来れました。
長々とご覧くださった方、有難うございました。
いかがでしたか?
まあ、私の絵はいつもこんな調子で出来上がってきます。
無計画で旅に出るようなワクワク感はあります。
もちろん途中で谷に落ちる危険もあるのですが…。

さて、また次のキャンバスを張ることにします。